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夏の思い出(3)
投稿者:
利彦
投稿日:2008年 9月19日(金)22時06分47秒
まず、すでに2冊が発行されている『川柳総合大事典』(全4巻・雄山閣出版)の3回目の配本予定である「川柳界編」の発刊が予定より大幅に遅れ、皆さま方に大変ご迷惑をお掛けしていることを深くお詫び申し上げます。
なるたけ早く出版すべく、予定した原稿がどうしても手当できない最低限のものを、いくつか書いてしまおうと、この夏の終わりに、北上市にある現代詩歌文学館の所蔵本を拝見するために、彼の地までお伺いしました。これによって、なんとか不十分ながら、一応の体裁でもって編纂室に原稿を送り込んで、あとは、見切りになりますが、年内発行をひたすら御願いしたところです。
ところで、北上市の駅前に立派な石碑があったので、何気なく覗いたところ、若山牧水の歌碑でした。東北・北海道の旅の途中で北上市に立ち寄ったらしく、地元の後援者の所に一泊した際に揮毫した《幾山川越えさり行かば寂しさの終てなむ国ぞ今日も旅ゆく》の一首が刻まれていました。この歌は、牧水の第一歌集『海の声』(明41.7)では、「幾山河」として収録されていますが、この歌碑を見ますと、当初の原歌は、「幾山川」だったのですね。
この若山牧水に関連して、一つ思い出したことがありますので、ここに書き込みさせていただく次第です。といいますのも、明治の末年(おおむね明治42年頃より)に柳界に一大新風を吹き込んだ〈新傾向川柳〉というのがございます。その〈新傾向川柳〉の代表的な句の一つに、中島紫痴郎の《眼の無い魚となり海の底へと思ふ》というのがありますが、牧水の歌にも、《海底に眼のなき魚棲むといふ眼の無き魚の恋しかりけり》という同発想と思われるのがあります。この牧水の歌は、明治44年9月に発刊されました牧水の第4歌集『路上』の巻頭に置かれております。この歌集は、序文等によれば、明治43年1月から同44年5月までの間に作歌されたものを収録しているように伺えます。年代順に並んでいるのかどうかは判然としませんが、中島紫痴郎の句は、『川柳200年の実像』(尾藤三柳著・雄山閣)によれば、明治44年とされておりますので、どちらが先かは別にしましても、いま以上に短詩文芸間で刺激を与え合っていたかがうかがえる一つの事実と思われます。たぶんに紫痴郎の句が後のように思われますが、川柳に「抒情」の息吹を吹き込んだ〈新傾向川柳〉は、当時の短歌的詠嘆に強い影響を受けていたのでしょう。
訂正「野良犬」
投稿者:
利彦
投稿日:2008年 9月12日(金)22時39分3秒
先日、黒澤明監督の映画「野良犬」の中で、現代川柳が取り入れられていることを話題にしましたが、これについては、すでに、石田柊馬さんが「KON−TIKI」(コン・ティキ)誌の2号で、随想として書かれていることを或る人から教えられた。
早速、調べてみると、あったあった。やはり、題して「野良犬」(柊馬)とある。以下、冒頭の部分は次の通り。
映画「野良犬」(黒澤明監督)で、拳銃を盗られた新米刑事(三船敏郎)と共に犯人を追うベテラン刑事(志村喬)が、どきっとするようなセリフを吐く。
「人を殺した人間は、いわば狂犬さ.......君、狂犬がどんな動きをするか知ってるかい?」
「.......」
「川柳にね、こんなのがある......気味が悪いほどえぐってるンだが......狂犬の眼に真直の道ばかり」
というのが正確らしい。「念のためにシナリオから写した」とあるから間違いないだろう。
セリフで取り上げられた現代川柳は、正しくは、「野良犬」ではなく、「狂犬」であり、「前」ではなく、「眼」でありました。ここに訂正させていただきます。
この映画は、1949年の作品です。当時の川柳の文体が感じられる句ですね。いわば擬人法のレトリックであり、そうした比喩が川柳の詩性を支えていると信じていた時代。僕も川柳を始めた頃はこうした句を一つの目標に創っていました。
夏の思い出(2)
投稿者:
利彦
投稿日:2008年 9月 9日(火)21時58分22秒
8月の或る暑い日、「川柳学」の編集打ち合わせで、尾藤一泉さんと時実新子の「川柳大学」ご出身の杉山昌善さんにお会いする機会がありました。そのとき、昌善さんはもともとテレビなどの脚本家とのことですが、黒澤明監督の「野ら犬」という映画で、刑事役の志村喬にこんなセリフがあると教えて頂きました。
「確かこんな川柳があったなあ」
「《野良犬の前真っ直ぐな道ばかり》」
この句は、誰の句か判然としませんが、この映画が封切されたのが、昭和28年だったか昭和33年というからには、どうも句の仕立てからして、川上三太郎か、あるいは中村冨二あたりの句会吟じゃないかなあという感想を述べておきました。
それにしても、黒澤明監督の映画の台詞に名脇役の志村喬が当時の時代臭を感じさせる現代川柳が登場していたという事実には愕きました。いい夏の思い出です。
来年のBS岡山川柳大会予告
投稿者:
明
投稿日:2008年 9月 8日(月)14時39分13秒
4月11日(土)会場「ピュアリティまきび」に決まりました。今年のおなじ会場です。
ご紹介ありがとう
投稿者:
石田柊馬
投稿日:2008年 9月 6日(土)08時44分22秒
堺さんありがとう。
掘豊次さんのおかげで、祐さんや冨二さん芳味さんと同席する機会をいただいたり、後に祐さん宅で一泊、あるいは芳味さんと労組の話題を交わすなどができました。東の話題はもっぱら飯尾麻佐子さんからいただいていました。おかげで、チンピラどもで出した薄い柳誌を三太郎さんに手渡して、がんばれ、やれっやれっ!と励ましていただいたこともありました。
また書籍の紹介などメールしあいましょう。いま、古本まつりで入手した『小林秀雄をこえて』(柄谷行人・中上健次の対談)などを読んでいます。
夏の思い出
投稿者:
利彦
投稿日:2008年 9月 5日(金)22時29分58秒
今年の夏、「川柳塔」同人の桑原道夫さんが、夏休みを利用して国会図書館で調べものをするために上京した折に、親しく懇談しました。その折、橘高薫風さんの作品の出典を調べるために古い「川柳雑誌」を見ていたところが、戦後もある程度経ってから、河野春三が「川柳雑誌」の編集に携わったことがあるのを見つけたという話しがありました。最近、このBSのホームページに掲載されている「柊馬のつぶやき」の第26回で、「平安」の記事からそのことが載っていることを指摘されいるのをたまたま見て、何かの偶然を強く感じました。道夫さんとは生前の薫風さんとの交友についての話題が主でしたが、その中で、薫風さんは、田中博造さんや石田柊馬さんらとも結構なお付き合いがあったというお話しもお聞きしました。なお、連載中の「柊馬のつぶやき」は、堀豊次さんを中心にお話しが進んでいますが、富二、哲郎、芳味、祐といった当時の関東の個性的な柳人たちも豊次さんとは不思議とうまがったようです。豊次さんは忘れられない先輩の一人でしょう。今後の展開が楽しみです。
イメージ吟
投稿者:
明
投稿日:2008年 9月 3日(水)00時19分33秒
編集済
「黒色の袋に収められている折り畳み傘」小池正博選
期待してくださいこれから咲かせます ひろえ
警視庁捜査一課の貴重品 千秋
香港の濡れたとば口ひらく夜 ぎい
満開の萩を見てきた傘たたむ 由紀子
千年紀流砂にしずむ傘の骨 久良
姉さんの嫁入り道具だったのね 千秋
しがらみが強くて手も足も出ない ひろえ
砂漠では砂を水だと言い張って 正博
「長めのアイボリーの靴べら」前田一石選
置き引きの引っ掛けように使ってる 幸男
プラハまで行った靴なら親友だ 正博
痒いところに手が届くあなたの傍に ひろえ
おっかんべーの角度でおでかけの合図 全郎
中村整形外科のくつべらだ 由紀子
鳥渡るマングローブにからむきつべら 久良
ダリヒゲの拡大図をごらんあれ ちかる
仏壇の奥を時々かき回す 千秋
政治家のクソをこそげて見せましょう 仁
神さまといういやらしいそり具合 明
くつべらは帰ってこない父である 由紀子
手にとって戦争という軽さかな 柊馬
ロスタイムになってやっとこさすべる 一石
「伏せた透明なガラスコップに直径5センチの醤油焼き煎餅がのっているもの」明選
糸電話愚痴を洩らして透けてくる ひろえ
円盤がしどろもどろに回りだす 正博
幻想にはびころ月夜のテングタケ 久良
辻々に水子が帰ってくる夜だ 仁
宙を往くせんべいありき美しき 柊馬
わーんわーんとコップの尻は交尾する 柊馬
小道具がこんなところへ逃げてきた 正博
マニュアルに河童の皿の呼吸法 久良
夏帽子水平線が入りくる 令
大仏の使った椅子の一つです 幸男
おとうとの顔にすこうし似ています 由紀子
砥石研ぐ砥石だという映写技師 裕
天蓋というはみっともないおもさ 明
三分間吟・・ここに書くのどうしょう・・。
訂正
投稿者:
明
投稿日:2008年 9月 2日(火)22時24分30秒
いえ、野口さんの記憶は正しく、私の□が間違っていました。
(無題)
投稿者:
野口裕
投稿日:2008年 9月 2日(火)21時28分47秒
はっきりとは断定できませんが、
飛び立ってそれでいいのだパパなのだ 正博
を、取らず
飛び立って緑の夢を見た豆腐 正博
を、取ったと思いますが。
偽記憶でしょうか?
笠句(冠句)
投稿者:
明
投稿日:2008年 9月 2日(火)00時07分14秒
編集済
笠句(冠句)「飛び立って」○樋口由紀子選 □野口裕選
○□飛び立って現に遺すさくらんぼ 仁
○□飛び立って琉球なまり熟成す 全郎
○□飛び立って芒百本手につかむ 千秋
○□飛び立ってもう刺青に戻れない 明
○□飛び立って飛び立って噴水である 令
○ 飛び立ってからもお国家老なり 柊馬
○ 飛び立ってそれでいいのだパパなのだ 正博
○□飛び立って緑の夢を見た豆腐 正博
○ 飛び立ってアルミサッシを軽蔑する 柊馬
○□飛び立って今胃袋のあたりです ちかる
軸□飛び立ってしまったものは川の水 由紀子
□ 飛び立って後の銀河をさらに蹴る 令
□ 飛び立って雫はしずくのにおい持つ 全郎
軸 飛び立って重い空気の中にいる 裕
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